［京王〜種別幕・方向幕 特集］

■京王7000系　側面表示器パネルの製作

幕周りを7000系電車の一部に見立てたパネルを製作し、実機の幕式表示器に被せて、実車の雰囲気を醸し出してみました。リアリティにあふれ、よりディスプレイ性もアップします。 このコーナーでは、表示器パネルの製作について紹介します。

写真左： 幕式表示器への パネル装着

写真上：京王7000系 側面表示器パネル完成品

●表示器パネルの製作 １．素材の選択 　京王7000系車両はステンレス車体なので、パネルもステンレス素材で製作することにしました。 市販されているステンレス板は数種類ありますが、車体に使用されている材質の物とは異なります。当然ですが、車両専用のステンレスが使われていて、車両側面でも数種類のステンレス板が使われています。7000系のビードプレス車は、幕周り付近に上下で2種類のステンレスが使われており、今回の製作にあたり、視覚的に実車に近い材質の物を模索したところ、「SUS304HL」と「SUS304 2B」が近いと思われ、この2種を使って幕周りのパネルを再現したいと思います。窓枠については「SUS430」を使います。

写真上：左「SUS304HL」　右「SUS304 2B」 HLはヘアライン仕上げの略で、一方向に細かい線が入っていて美しい輝きを放ちます。京王では5000系のボディーが酷似です。２Bは光沢のある灰色といった感じです。7000系では幕の上側にHL、下側に２Bというのが近いと思います。

２．採寸・設計 　幕式表示器の大きさを採寸しながら、製作するパネルの大きさを考えます。幕と窓部分のパネルにするか、機械全体のパネルにするのか・・・。以前製作した6000系のパネルが見栄え良く仕上がったので、今回も機械全体を覆うパネルにしようと思います。ただし大きさについては反省点があるので再考します。

パネルの大きさが決まったら、窓の大きさと位置を設定します。 窓の大きさは実車から採寸し、切りの良い350mm×130mmとしました。窓の位置は、幕の位置と合わせて決めていきます。

図面１：京王7000系 表示器窓枠 　　　　　　(実車窓枠との比較)

各部品の大きさと全体の構想が固まったら、上図のような具体的な寸法入りのラフスケッチを描きます。この段階で、パネルを表示器に装着するところまでをイメージし、必要パーツ等、各部を設計しておきます。 　右の図面１・２は、ステンレス板の加工についての詳細を図面に起こしたものです。掲載図面では文字が潰れて見えないですが、パネルの大きさは、縦270mm、横630mmにしました。他、穴開け位置や穴の大きさ、窓枠の大きさや角丸めなど金属加工に必要な寸法を図面に記していきます。また、各パーツの大きさや取付位置なども図面にしていきます。 図面１の窓枠では、実車の写真と比較し、設計した寸法と視覚的に違和感がないかなども検証しました。 　ガラス部分のゴムパッキンについては、ゴムの加工が難しい事と、アクリル板とゴムの相性が良くないことから、今回は割愛しましたが、引き続き製作について研究したいと思います。

図面２：京王7000系 側面表示器パネル組立図

３．材料・部品の調達 　メインとなるステンレス板の購入は、いつもお世話になっている「小口シャーリング」さんです。とても品質が良く、品物が届いた時にはいつもワクワクします。 窓ガラスとなるアクリル板は、こちらもいつもお世話になっている「ジーアシスト」さんです。アクリル板の大きさは窓枠と同じにするため、寸法は390×170 mmで、厚さは2mmです。面取り不要指定で加工して頂きました。 その他、窓を固定するネジや、表示器へ取り付ける際の、ガイド用のアングル材、マグネットなど必要な物品を準備します。

写真�@：プラ製のアングル材とマグネット　写真�A：ネジ類(M4トラスネジ8mmほか)　写真�B：加工が完了したステンレス材

４．加工と組立 　アクリル板は窓枠の穴に合わせて直径4mmの穴を空けていきます。穴の位置がずれないように窓枠の穴をガイドにして、直接ドリルで穴を空けます。角も窓枠に合わせ、ヤスリで丸みを付けていきます。 アクリル板の加工が終わったら保護紙を剥がし、パネル、アクリル板、窓枠の順に重ね、ネジで固定します。

写真�C：穴開け　　写真�D：角丸め　　写真�E：窓の組み立て　　写真�F：窓の組み立て完了

５．ガイドの製作 　表示器に取り付ける際にパネルの位置が定まるように、プラ製のアングル材を使ってガイドを製作します。 表示器表側の幕部分の枠にアングル材がはまり、上下左右の位置が定まるようにします。 設計図面通りにアングル材をカットし折り曲げます。左右対になるように2本製作します。薄いプラスチックなので簡単に加工できます。 あとは両面テープで設計図通りの位置に貼り付け、磁石を4カ所に配置すれば完成です。両面テープは強力な３M構造用を使用しました。

写真上：ガイドの製作とパネルへの取付

６．完成・取付 　パネル表面に飾り付けをします。 リアル感を出すため、実車のようにパネル面を上下2種のステンレス材で再現しました。帯状の合わせ面や、スポット溶接痕もハンマー打痕で表現しています。KEIOのロゴや7000系40周年のヘッドマークも製作して貼付してみました。

写真�G：京王ロゴの貼付　 写真�H：リアルなスポット溶接痕とヘッドマーク

写真�I：パネルの裏側

表示器への取付は、写真�Kのように表示器の枠の部分に、パネルのガイドを合わせてはめるだけです。マグネットでバッチリ固定できます。 　設計から製作まで、ワクワクしながらとても楽しく完成させることができました。表示器の電動化と相まって、実車を彷彿させるリアルな幕式表示器となりました。

写真�J：完成品　種別、行先の２連で製作　間に車側灯があれば完璧?!

2024.11.1掲載