TAMA SWINGSTAR 72-75

SWINGSTAR Jr.7200シリーズのドラムセットに付属のスネア。Jrシリーズは7300シリーズより、さらにコストダウン図った入門モデル。このウッド製のスネアは'81年モデルを最後に姿を消す。 入門モデルとはいえ、パーツなどは上級モデルの旧型の物を使用しており、現在の安価なモデルとは比較にならない。 とても丁寧な作りで手が込んでいて、TAMAの職人魂が感じられるほどだ。 ラグの数を6個に減らすなど徹底的にコストダウンを図っているが、ヒートコンプレス成形、イスカジョイント、カバリングの全面接着やシェル内面のゾラコート塗装など、上級機種と同等の作り込みだ。

写真上：質量はこの個体で約2.7kg。カラーはメタリックホワイト。14×5インチで、当時定価10000円。 写真左：シェルの材は堅く丈夫で比較的安価なアピトン材。音響特性よりコスト重視。このクラスでは内面の無処理が多い中、ゾラコート塗装が施されている。 ゾラコート塗装は「温度、湿度に強く、音の跳ね返りをよくする」と当時のカタログには書かれている。ベージュ色をベースに白黒を荒くランダムに吹き付けている。

写真上：エッジは角度がつけられているというよりは、なだらかな円弧を描いている。甘くクラシカルなサウンドは、このエッジ形状によるものであろうか。 写真左上：カバリングの端に沿って溝が切ってある。カバリングを切断するときに出来た痕ではないだろうか。あるいは、カバリング貼り付け時の目安のラインかな？

写真上：安価なモデルだが、丁寧なスナッピー床が加工されている。平行部はほとんどなく、なだらかなカーブで加工されている。深さは約2.5mm。 ストレイナー「6340」は'70年代から採用のパーツで、スナッピーを止めるネジが「マイナス」頭のものが使われている。

写真左：標準では0.6mmハイカーボン18本の「6020」スナッピーが装備されている。この個体では、スナッピーがへたってしまったためTAMA「MS20R14S」に交換している。カーボンスチール20本。

'18.8.15掲載