TAMA MASTERCRAFT FIBREGLASS FG-356 FIBRESTAR

'77年より発売のブラックファイバーを使ったスネア。当時グラスファイバーは新素材として注目され、ドラムだけではなく、さまざまな分野で利用が始まっていた。ガラス繊維を樹脂で固めた強化プラスチック（FRP)は、現在では身近なものになった。 通常のプラスチックより軽く硬さと強度があり、程良い弾性をもち、温度や湿度に影響されない特製を持つ。FRPは積層方法によっては厚みや強度にばらつきが出る場合があるが、逆にその特性を生かした製造方法もあり、利用価値が高い。TAMAでは遠心力を使った製法で均一なシェル製造に成功している。サウンドは、やや硬めで立ち上がりが早くパワフル感があるが、木製や金属シェルに比べると音量は決して大きくない。マイクのノリは良いが生音だとやや埋もれてしまう。当時のカタログでは、タム類はCSヘッドを標準としており、音量の小ささをアタック音でカバーする形だ。実際、アタックを重視したハードロック系の楽曲にマッチするサウンド。湿気の多い時期や、倉庫等に長時間保管した直後でも、ほぼ普段と変わりないチューニングが可能。タムタム、スネアいずれも木製シェルにはない、ファイバーグラス特有のサウンドを奏でる。

写真では分かりにくいが、FIBRESTARのバッジは黒ではなく、やや茶色味がかった配色と光沢で高級感がある。

質量はこの個体で4.7kg。アートウッドシリーズのバーチ材シェルと同等。 1980年当時価格31000円がわずか5年後の85年には46000円に高騰。さらに86年には、カーボンファイバーのFC756へ進化し88000円に跳ね上がる。

写真上：アートウッドシリーズに比べると、少々大きめにえぐられたスネアベッド。 この個体は、シェルはシリアルナンバーより1980年製のものと思われるが、ストレイナー、ラグ、などのパーツは、80年代中期以降のものに交換されている。

'20.1.31掲載

1980年初頭に発行された海外向け？リーフレット。すべて英語記述。 わざわざ、ビニール袋に入っていた。

ブラックファイバーシェルは、強度とパワーがあり明るい音色。外観はマットブラックのテクスチャードエポキシで仕上げてあるなどと、書かれている。

2019年1月、某リユース専門店でファイバースターを発見。 バスドラ、タム×2、フロアタムの４点セット。年式の記載はなかったが、仕様やシリアルナンバーから、恐らく1970年代後期(78〜79年)のセットではないかと思われる。スネア以外では珍しいカバリングなしのブラックフィニッシュ仕様。抜群のシェル鳴りなのではないかと推測する。 状態を見てみると、とても40年以上前の物とは思えないくらい状態が良い。クロームメッキ部分のビッツも気になる程のものはないし、ボルトなど金属部分の錆なども見られない。輝きも新品時同様だ。ヘッドも当時の標準装着だった「CSクリア」の新品が張ってある。バスドラのフロントヘッドに穴が空けられている以外、店頭展示品の「新品」といっても良いくらいだ。改めて40年以上経っていることに驚かされる。ちなみに商品の写真は、お店の許可を頂いて撮影させてもらった。こちらのお店では写真を自由にとって頂き、SNS等で情報を発信して欲しいということであった。

'20.1.31掲載