TAMA KING BEAT 8006 METAL IMPERIALSTAR

1970年代初頭に登場した「KING BEAT」が1976年、大幅にモデルチェンジされた。基本コンセプトは変わらないものの、シェル、フープ、ストレイナーなどを新設計し躍進した。　シェルについては大型プレス機導入により、これまでの溶接接合からシームレス構造となり精度が上がった。製造技術向上により、理想的なエッジ形状R2-45度を獲得、チューニングの精度とレンジが改善された。また、シェル内側をシルバー塗装することにより、外観を損ねることなく余分な反響音を押さえ、ダイキャスト化され剛性の高まったフープと相まって、TAMA特有のメタルながらにして重厚で落ち着いた、かつパワフルなサウンドを獲得。このシェルは「8006」だけでなく他のシリーズへも展開することとなる。ストレイナーについては構造を一新。ストレイナーが単独でスライド出来るようガイドを改善する事により、左右をつなぐフレームロッドを廃止し、スナッピーのみが平行に上下する構造となった。これによりサイドヘッドの交換も飛躍的に容易になった。また演奏時にスナッピーがロッドに干渉することがなくなり、スナッピーの効果と耐久性が改善された。

写真上：キングビート専用のスナッピー(6025)。取り付け部分が現在の汎用品と異なる。専用スナッピーは廃盤だが、汎用スナッピーをひもで括り付ければ、とりあえずは取り付け可能。フープはダイキャスト製。きちんと整備すれば往年の70年代サウンドが甦る。現代では逆に新しいスパイスに！

スネアスイッチを操作すると、左右のストレイナーがスナッピーのテンションを変えることなく、音もなく見事な程に平行に上下する(パラレルアクション)。スナッピーにテンションを与えたままというところがポイントで、ONにした時にスナッピーの位置がずれることなく正確にヘッドに当たる。

質量は、構造が複雑で重そうに見えるが他のメタルと変わらない。サイズは6.5×14。

写真左：「�@」のネジはドライバーで緩めることによりストレイナーを単独で上下させ、スナッピーがヘッドに当たる強さを変えることが出来る。左右個別に調整できるので、サウンドメイクの幅が広がる。 「�A」のノブはスナッピーの張り具合を調整する。完全に緩めるとスナッピーが外れ交換することが出来る。当たる強さと張りを個々に調整できるのが最大の特徴だが難易度は高い。�@→�Aの順に調整する。

完全パラレルアクションのキングビートは、1986年モデルを最後に姿を消す。(スイッチ6301A・B） 　1982年モデルよりストレイナーのデザインが若干変更され、帯状のラインが2本入る(写真下)。

写真上：シェル内のロッド。このロッドが回転することで反対側のストレイナーに動きを伝え、スナッピーを平行に上下させることが出来る。ちなみに、この構造は1972年に特許を出願している。 写真左：メモリー機能付き内蔵ミュート。1980年モデルより新型の形状に変わるが、基本的な機能は同じ。

2023.5.21掲載