●改造計画と必要物品の調達 　必要な配線が確認できたので、どのように改造していくか計画を立て、それに伴う必要な部品などを入手します。 １．改造計画としては、家庭用100V電源を使用し、メインスイッチをONにすると蛍光灯が点灯。その状態で、巻取りスイッチを動かしたい方向(上巻き・下巻き)に操作している時だけ動作するようにします。メインスイッチがOFFの時は、巻取りスイッチを操作しても動かないようにします。 ２．計画に合わせて、必要となる部品を調達します。 スイッチはメイン用ON-OFF動作の「単極単投15A100V」と巻取り用の「単極双投」の2種を用意。巻取り用のスイッチは「ON-OFF-ON」の動作で、操作している時だけONになり、手を離すとOFFになるモーメンタリー機能を持ったスイッチを使用します。いずれも結線が簡単なネジ式にしました。 電線は3種類用意しました。すべて黒でも良かったのですが、改造コンセプトに基づき、青色のコードも準備しました。 電源線用の「KIV ビニル絶縁撚り線1.25sq 600V単線」の黒と、蛍光灯用の「IV ビニル絶縁単心1.2mm600V単線」の黒・青です。基本的に既存の線を利用するので、それぞれ切り売り１ｍもあれば余るくらいです。 100V電源入力には「VFF1.25sq プラグ付コード125V12A」の２ｍを使います。長さは各種あるので好みで選べば良いと思います。 蛍光灯の安定器ですが、巻き取り器の中に収まるサイズで蛍光灯１0W1灯用を選びます。安定器の電源周波数は両用もありますが、関東の周波数に合わせて50Hz専用の安定器を使います。今回は東芝製の「FBC-10144A」を入手しました。 　その他、結線用の圧着スリーブや丸形端子、配線を留めるクランプや結束バンドなどを用意しておきます。絶縁キャップや絶縁テープも必要です。工具はハンダごてのほか、ニッパー、ワイヤーストリッパー、圧着ペンチ、ドライバーなどがあれば良いです。回路確認でテスターがあると安心です。 電線やスイッチなどは入手しやすいですが、蛍光灯用の安定器が少々苦戦しました。家庭用照明がLEDになっている背景もあり、安定器は2019年より各メーカーの製造が中止になっているため、特に10W用の安定器は数が少ないです。 写真下：�@電線や工具など　�Aスイッチは2種類(左から幕用、メイン用)　�B電線は3種類(左からKIV1.25、IV1.2黒・青)

写真上：�Cプラグ付きコード　�D50Hz用の安定器　�E圧着スリーブ、配線クランプ、丸形端子、絶縁キャップなど

●配線作業【１】 　モーター関連の配線をしていきます。 モーターは単相交流100Vコンデンサ進相式ですので、コンデンサーで電流の位相を変えることで正転と逆転を切り替えています。したがって、前ページの「各配線の確認」の項で確認した6番7番の線が、それぞれ2本ずつ組になっていることを確認しておきます。 準備したKIV線を「6」「7」線のそれぞれに、圧着スリーブを使ってスイッチ付近まで延長します。長さはあとで微調整するので大まかにしておきます。結線したら既存の保護チューブの中を通しておきます。その際、番号が分からなくならないように、絶縁キャップなどを使って番号を付けておきます。基本的なことですが、ハンダ部分を切除してから結線しないと圧着不良の原因になります。また、圧着ペンチは被覆用と裸用を適切に使用しないと絶縁不良の原因になり危険です。 　写真下：�@「6」「7」線の延長　�A既存のチューブに通しておく　　�B新設の線に番号を振る

●配線作業【２】 　蛍光灯関連の配線をしていきます。 １．まずは新設する安定器の設置場所を模索します。色々と検討した結果、今回は、改造コンセプトに基づいて、出来るだけ目立たないように、制御用トランス箱のとなりの場所に、制御配線に隠れるように配置しました。固定には配線クランプのネジを流用すると丁度良いです。 ２．入手した安定器は、1コイル電磁式ですので２本の線を接続します。 先に切断しておいた「33」線の、既存の安定器から出る青い線の方ではなく、蛍光灯へ繋がっている黒い線を延長します。延長には、IV線1.2mmの青い被服線を使い、延長先は新設した安定器の一方へ差し込みます。 安定器のもう一方の接続口「COM」には、電源のL極を入力します。IV線1.2mmの黒い被服線を使い、スイッチ付近まで配線を新設します。いずれも分からなくならないように、番号を振るのを忘れないようにします。 点灯管側の配線は、どの回路とも独立して結線されているので、既存の部品や配線をそのまま使います。 　　写真下：�@安定器の設置　　�A安定器への結線　　�B電源L極の配線

●配線作業【３】 　電源関連の配線をしていきます。 １．これまでの配線作業で、スイッチ付近には「6」「7」のモーター系、「COM」の蛍光灯系の線が来ています。 電源配線の考え方としては、元々、電源→スイッチ→ヒューズの順でしたが、接続はコネクターではなくコンセントのため、電源→ヒューズ→スイッチの順で電気を流すことにします。 ２．スイッチパネルには、既存のヒューズボックス１つを残し、他は外します。外した部品は使いません。 スイッチパネルの下側の穴にメインスイッチ、上側の穴に幕動作用のスイッチを取り付けます。メインスイッチには外したスイッチに付いていた「ON-OFF」の表示パネルを流用します。メインスイッチは単極単投の片切りスイッチですので、こちらを交流電源のL極側とします。 ３．「配線の確認」の作業で切断した、変圧器から出る「V」線ではなく蛍光灯やモーターと繋がる方の黒い「V」線を、VFF1.25sq プラグ付コードのN極側となる方へ圧着スリーブで結線します。平行線は文字が印字してある方がN極となります。プラグ付きコードは、長さを調整した後、コンデンサーの取り付け部に配線クランプを使って固定します。 　写真下：�@不要部品を外したスイッチパネル(裏面)　　�Aスイッチ2種の取付　　�Bこの線を電源のN極側へ結線する 　　　　　　�Cプラグ付きコードの固定

写真上：�D電源L極側の接続　　�EL極の各端子への結線　　�F「6」は下側、「7」は上側　　�G不要部分の絶縁 ４．プラグ付きコードのL極を、長さを調整しヒューズボックスの入力側「1」にハンダ付けします。 ５．ヒューズボックスの出力側「40」からメインスイッチの入力側(端子上側)に丸形端子を使って接続します。 メインスイッチの出力側(端子下側)に、安定器からの「COM」線を接続します。更にそこから、巻取りスイッチの真ん中の端子に線「M」を新設し接続します。メインスイッチの出力側端子には「COM」と「M」の２つの線が結線さていることになります。 ６．モーターからの「6」「7」線を巻取りスイッチに接続します。 「6」は幕が上側に巻かれる線、「7」は下側に巻かれる線です。スイッチを上に倒した時に上に巻かれ、下に倒した時に下に巻かれるように配線します。 スイッチの端子には、上側に「7」を、下側に「6」を接続します。間違えると逆に動きます。線の長さを調整後、スイッチにはすべて丸形端子を使って結線します。スイッチは端子がむき出しなので、ショートや感電などの事故を避けるため、絶縁キャップの装着およびテープでの絶縁を忘れずに行います。 ７．完成に向けて、既存スイッチやヒューズから外した不要な配線に絶縁テープを巻きます。モーター付近で切断した部分も忘れずに絶縁しておきます。

動作確認は、次のページで．．．