［京王〜種別幕・方向幕 特集］

■京王7000系 幕式表示器の電動化 Ver.1 　　(本体改造による可動【AC100V】)

京王7000系の幕式表示器を、家庭用100V電源を使用しモーターで動くように改造してみました。JR(国鉄)系や他社の電動化は時々見受けられますが、京王の巻き取り器は珍しいのではないかと思います。 　電動化には様々な方法があるかと思いますが、このコーナーでは、指令器や遠隔操作による可動ではなく、単純に本体のみでの電動化について紹介します。 電動化に伴い、各部を知る必要があったので構造についての詳細も紹介します。

●各部の確認 幕式表示器の構造や電気的な仕様を見ていきます。

１．まずは巻取り機械の全体を見てみましょう。限られたスペースの中に、様々な部品が配置されています。 こちらの機械は初期車両の物でしょうか、1984年製造です。これが電車の薄い壁の中に収まっています。 写真上：�@正面　�A裏面　�B正面右　�C正面左　�D上側　�E底面

２．さらに各部の詳細を見てみましょう。 写真下：�@車両側と接続し電源や制御信号を受けるコネクター　�A電圧200Vを100Vへ下げて各部へ電気を供給する変圧器　�B裏面左の制御盤(白い箱)の中。幕の制御基板　�C幕のバーコードを読み取るセンサー10個　�D上側の白い箱の中。制御系のトランス　�E蛍光灯の安定器と点灯管　�Fメインスイッチとヒューズ、点検端子。巻取り用のスイッチは付いていない。

写真下：�G幕を動かすためのモーターと接続器　�Hモーターを逆転させるためのコンデンサー　�I巻き取りドラム上下と蛍光灯およびバーコードセンサー　�J上下の巻き取りドラムを同期させるチェーン

３．各部の確認より改造に関する事柄をまとめると、6000系ではモーターの仕様が200Vでしたが、7000系では家庭用電源100Vで作動することが分かりました。また、この機械には巻取り用のスイッチが付いていないので増設する必要がありますが、モーター用のコンデンサー搭載により、モーターの正転と逆転がアナログ的に可能な事が分かりました。 蛍光灯の安定器については6000系と同様に200Vでしたので、100V10W用の安定器が別途必要となります。 以上のことより、今回の巻き取り器の改造は、幕の電動化と蛍光灯の点灯を行うことにしました。 なお、幕のコマ指定動作は、指令器側の回路が不明かつ、製作には高度な知識が必要なため行いません。

●各配線の確認 出来るだけ元の外観や雰囲気を変えない、また、指令器が入手できた際に備え、いつでも元に戻せるというコンセプトの元、改造して行きたいと思います。 まずは、モーター作動と蛍光灯の点灯に関連する配線を探っていきます。目視でも確認できますが、テスターがあればより確実です。 作業にあたり、幕を傷つけないよう取り外しておくのが賢明ですが、段ボールなどで保護しておくと良いです。今回は写真を撮りながらでしたので、そのまま慎重に作業しました。

１．束ねられた配線を留めている大量の結束バンドをニッパで切っていきます。すべてを切る必要はありません。必要と思われる部分のみ解いていきます。必要に応じてクランプも外します。 配線がバラけてきたところで目的の線を探ります。ほとんどの線が黒の被覆なので気が遠くなりそうですが、配線には番号が振ってあるので、番号を確認しながら追っていくと分かりやすいです。 次にスイッチやヒューズに繋がっている線を、確認しながらハンダを外していきます。 写真上：�@結束バンドの切断　�Aスイッチに繋がる配線確認　�Bハンダと結束を解いた配線

２．電源とモーター、蛍光灯の線を確認します。 電源線は変圧器の二次側から100Vの「V」記号の線を見つけ切断します。また、各部へ繋がっているので、テスターを使い蛍光灯とモーター以外に通電する不要部分を切断します。制御盤下あたりに分岐があります。 蛍光灯線は安定器側から出ている「33」番の線を見つけ切断します。点灯管側は既存回路をそのまま使います。 モーター線は制御盤の基板下側から出ている「6」と「7」番の線のハンダを取ります。このとき、コンデンサーに繋がる線が一緒に結線されているので、解かないように注意します。 写真上：�C変圧器からのV線を切断　　�D制御盤下のV線　　�E安定器からの「33」の線は青色 写真下：�F制御盤に繋がる「6」「7」の線　　�G「6」と「7」の線は「白と黒」、「黄と黒」の２本一組でハンダを外しておく

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